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memoream

R-1-1

「あなた H et H に会いたいんでしょ?」
と、その女性は言った。

「え、、、」
神宮の杜で展示を見ていたはずなのだが。。明るかった展示室が暗くなっている。どうしたのだろう。
一体何が起こったのか。
不審に思いつつも冷静な自分に逆に驚いている。
と、驚いているその状態を把握している。意識の入れ子状態、などと思ってもみたり。

「あなた H et H に興味があるんでしょ?」
「・・・・はい。」
「『2001年宇宙の旅』って映画を知ってるかしら?」
「タイトルぐらいならなんとなく。。」
「人類の進化をテーマにした映画なんだけど。」
「はい?」(なんでいきなり映画?そんで進化?)

「H et Hは『2001年宇宙の旅』とMelencoliaに共通のテーマをみていたようなのね。このM3もその意味では前作と同じシリーズね。Melencoliaも或る意味人間の進化を目指したものと言えなくもない、と考えていたのよ。あなたが呼ばれたのはあなたがこの作品に強く興味を持っていたからかもね。
これを渡します。後はこれがあなたを導くでしょう。うまくいくといいわね。」

僕は以前、H et Hの作品を見て、興味を持っていたのは確かだが、この作品はかなりジャンプがあるように思っていた。
ある種のテイストは共通しているとは思うが。そもそもこの女性は誰なんだろう?

「そう言われても訳がわからないんですが。。そもそもあなたは誰ですか?」
「つまんない事聞くわね。もっとほかに聞きたい事ないの?」
確かにこの状況下では他に聞くべきことはあるんだろうが、そんなに的確に質問できる状況ではないだろう、とも思った。

 

【注釈】
作品を見ていると不可思議な事も起こり得る、とでも言っておこうか。
作品を見ることは、ある種の精神的な別世界に行くことでもある。
もちろんこのような状況はあまりに特殊であるが、そんな事が起こることを心のどこかで期待しながら作品に接するのは悪いことではなかろう。
黒須の健闘を祈りたい。