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memoream

R-2-2


「彗星は終末の象徴。彗星が流れるときに”ヤツ”は現れる、と聞いている。お前は”ヤツ”なのか。それならこいつはどうだ。」
と言ったとたん巨大な幾何的な立体が空から降りてきた。

「なんだそれ!でかいよ!そんなのどうすればいんだよ。」なぜか恐怖感もあるが、不思議とタメ口をきいてしまった。
「もしお前が”ヤツ”なら大丈夫だ。」

「違ったら?」
「そうしたらバイバイだ」
バイバイ?軽く言ってくれるじゃないか。だがそれはちゃんと頭上で静止した。

「ちゃんと止まったな。スケールが合う。お前の板(ボード)をかざせばよい。組み込まれる位置がある」
「こうか?」
返事はなかったが、さっきの女性から受け取ったボードをかざすと衝撃はあった。そしてちゃんと収まっていた。

 

【注釈】
彗星が現れることは終末が近い、と信じられていた。
1494年にデューラーは彗星が地表に落下するのを目撃している(「エニスハイムの雷石」という絵も描いている)。
しかも他の絵画の裏にだ。表に描くことで実体化することを恐れたのだろうか?(「荒野の聖ヒエロニムス」の裏面の絵。見せないように描くなんて素敵だ)
”ヤツ”はあるSF小説で出てくるキャラクターのことなのかもしれない。
それについては記憶がこころもとない。巨大な悪に付随するものだったような。。
この世界においては黒須が外部からやってきた異物に他ならないのだろう。