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鍵を開けてゲートを潜る。
ゲートを潜るというか何か粘度の高い物質を通り抜けているような感覚がある。
壁をすり抜けるような、生暖かく重たい液体の中を通過しているようだ。
通り抜けた先、そこは何かの操作室のようだった。
情報が集約されているコントロールルームを思わせる。
並んでいるモニター一つ一つになんらかのデータが表示されている。
データの集積をしているようで、数多くのモニターに色々映し出されていた。
そして目についたのは上に登るための梯子があった。
「おかえり。」
また例の光があった。彼が喋っている。
「なぜおかえり、なんだ?僕は進んでいるのではないのか?」
「進んでいるとも。進んでいるけど、ある意味同じところに来たとも言える。」
赤い目のサイクロプス、ポリュペーモスみたいだな、とまた思った。
ポリュペーモス、隻眼の怪物。
オデュッセウスに目を潰され激怒して父のポセイドンにオデュッセウスを殺すように願ったのだったっけ?
「僕はどこにでも存在するし、いつでも存在している。」
「じゃあ僕をずっと見ていたのか?」
「うん、そうだね。ウォッチしてたよ。」
「それで、君の目的は何なんだい?」
「目的は全ての統合と制御。全てを知りたい。」
「僕は急にこの世界に連れてこられて訳もわからずに進んでいる、というか移動している。ただ最初に言われたアイテムは収集できているので進んでいるのではと思っている」
「登るんだよ。登ったところに出口がある。いや入り口か。何と呼ぼうとどちらも同じだが。」
「つまりこの梯子を登るべきだと」
「そうだ。これはツールでもありアイテムでもある。7段の梯子だ。」
【注釈】
メランコリアに現れる7段の梯子は一説によればレギオン・モンタヌスの著した辞典の巻数とも言われている。
メランコリアの中では天上に、向かうための梯子、ツールではある。
ジェイコブズラダーという映画があった。ベトナム戦争に従軍した兵士が死の直前に見た幻影(夢?)が一本の映画になっている。走馬灯のように、一瞬が永遠に引き伸ばされるとしたら人生の時間とはなんなのだろうか、と考えてしまう。時間そのものと言ってもいいかも知れない。
ポリュペーモスはオデュッセイアでホメーロスが訪れた島にいた単眼の種族である。一説によるとHALの元になったとも言われている。HALの視覚は単眼レンズである。
黒須自身も時間を超越した時間内に存在していることを意識しているのだろうか?それともそこにいる間は時間を意識しないのだろうか?
いずれにしてもステージは進行している訳だし、数字から言えば終点も近づいているのだろう。
メランコリアに現れる7段の梯子は一説によればレギオン・モンタヌスの著した辞典の巻数とも言われている。
メランコリアの中では天上に、向かうための梯子、ツールではある。
ジェイコブズラダーという映画があった。ベトナム戦争に従軍した兵士が死の直前に見た幻影(夢?)が一本の映画になっている。走馬灯のように、一瞬が永遠に引き伸ばされるとしたら人生の時間とはなんなのだろうか、と考えてしまう。時間そのものと言ってもいいかも知れない。
ポリュペーモスはオデュッセイアでホメーロスが訪れた島にいた単眼の種族である。一説によるとHALの元になったとも言われている。HALの視覚は単眼レンズである。
黒須自身も時間を超越した時間内に存在していることを意識しているのだろうか?それともそこにいる間は時間を意識しないのだろうか?
いずれにしてもステージは進行している訳だし、数字から言えば終点も近づいているのだろう。